分杭峠の観光について
伊那市では分杭峠の観光について、次の考え方で進めております。
みなさまのご理解とご協力をいただきながら、よりよい観光地を目指してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇南アルプスジオパークとしての分杭峠ジオサイト
・2008年に南アルプス(中央構造線エリア)ジオパークが日本ジオパークとして認定されました。分杭峠は、大地が活動した大断層「中央構造線」が通過し、その断層に沿って直線的に浸食してできた谷の眺望がジオパークの見どころとしてジオサイトに指定されている観光地です。また、峠は伊那市と大鹿村の境でもあり、峠を境に北側(伊那市側)へ流れる粟沢川と南側(大鹿村側)へ流れる鹿塩川に分かれる「谷中分水界」になっています。
〇パワースポットとしての分杭峠一帯の経過
・中国で「気の場」を発見した張志祥氏は、1995年にこの分杭峠で気場を発見したと論文で発表しました。その内容は、分杭峠を通る「中央構造線」を手がかりに、伝統的な東洋思想にある「陰」「陽」「気」という観念を示し、科学的には測定できない「気場」を「身体をセンサーにして」発見したとしていました。しかし、こうした研究は現在まで継続されておらず、「気場」や「ゼロ磁場」が科学的に証明されているわけではありません。
・2010年頃には分杭峠がパワースポットとしてメディア等に取り上げられ、多くの方が訪れるようになりましたが、パワースポット(気場・ゼロ磁場)とされているエリア(北斜面)は、峠にあるジオサイトとは別のエリアであり、ジオパークとは関係ありませんのでご理解ください。
〇ゼロ磁場と地球科学の磁場
・地球の磁場は、主に地球内部にある金属の液体である外核が、地球の自転に影響されて対流し発生する電流によって造られています。また、地表付近の地質には鉄が不均質に分布し、それによって残留磁場を発生させています。こうした地磁気と残留磁気が全く無くなる(ゼロになる)場所は地球上には存在しません。科学的に測定できないことや地球科学で証明されていない未知の現象は、ジオパークのみどころとしては扱っておりません。
〇分杭峠のご利用にあたって
・峠には観光客を受け入れる施設・設備が整っていないこと、峠への車道の幅員が狭く、伊那警察署からの交通対策の指導もあって、現在まで、観光利用に一定の制限をしながら、季節運行しているシャトルバスにご乗車いただき、一部歩道やトイレを整備して、ご利用いただいているところです。
・パワースポット、気場、ゼロ磁場等について、その効果や効用を保証するものではありませんが、同時にそうした体験を否定するものではありません。分杭峠そのものは中央構造線の特徴的な地形が示されたジオサイトです。ジオパークとしての魅力やこの地形の成り立ちなどもご理解いただきながら、みなさまの観光がよりよいものになることを願っております。
2022年10月 伊那市役所 観光課
お問い合わせ先:伊那市役所観光課 電話0265-96-8147
監修:南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク協議会

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