the alps above 3000m 南アルプス[中央構造線エリア]ジオパークとは?

南アルプス[中央構造線エリア]ジオパーク

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ジオパークとは

ジオ(地球)に親しみ、ジオを学ぶ旅、ジオツーリズムを楽しむ場所
それがジオパークです。

山や川をよく見て、その成り立ちとしくみに気付き、生態系や人間生活との関わりを考える場所です。
足元の地面の下にある岩石から宇宙まで、数十億年の過去から未来まで、山と川と海と大気とそこに住む生物について考える、
つまり地球を丸ごと考える場所、それがジオパークです。
ジオパークとは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所をいいます。
大地(ジオ)の上に広がる、動植物や生態系(エコ)の中で、私たち人(ヒト)は生活し、文化や産業などを築き、歴史を育んでいます。ジオパークでは、これらの「ジオ」「エコ」「ヒト」の3つの要素のつながりを楽しく知ることができます。

中央構造線

大地が大きく動いたあと

中央構造線の両側には、領家変成帯と三波川変成帯があります。
領家変成帯は、大陸内の火山帯の地下15kmほどでできました。三波川変成帯は、海洋プレートが沈み込んでいった地下30kmほどのところでできました。
領家変成帯と三波川変成帯ができたところの間は100km以上も離れていました。この2つが中央構造線によってずらされてきて、接するようになりました。
しかし、具体的にどのようにしてずらされてきたのかは、まだよくわかっていない大きな謎で、研究課題になっています。
中央構造線より大陸側を内帯、それに対し、中央構造線より海洋側は、外帯と呼びます。

中央構造線

小黒川沿いの戸台層

アンモナイトやサンカクガイの化石

 南アルプスの三波川変成帯と秩父帯の間には戸台構造線があって、この構造線に沿って白亜紀(約1億2千万年前)の浅い海にいた
アンモナイトやサンカクガイなどの動物が出る戸台層があります。その頃すんでいた動物や植物が、岩石に閉じ込められて化石になりました。
ここで見られるアンモナイトはどれもつぶれたり変形したりしています。これは化石が含まれる地層全体が地下深くにあったときに押しつぶされたことを物語っています。

小黒川沿いの戸台層

遠山大地変と埋没林

遠山川に出現した大地震の証拠

飯田市南信濃(遠山地方)では、714年と1718年の過去2回、大きな地震がおこり、山が崩れて遠山川がせき止められました。
特に714年の地震は規模が大きく現在でもその爪跡を数多く目にすることができます。その中の一つに埋没林があります。
 714年の地震では①大きな地震がおきた。②遠山川に流れ込む池口川沿いの山が崩れた。
③池口川と遠山川がせき止められた。この時遠山川沿いにあった木々は、せき止められた湖に沈み、流れてきた土砂に埋まって埋没林になった。
④その後、せき止められた湖が決壊して洪水がおき、天竜川の下流域で大きな災害がおきた。
これら一連の出来事は、遠山大地変と名づけれました。
 埋没林の木の年輪からこの時の年代が調べられ、歴史書に記録された災害の歴史とほぼ一致しました。歴史書を年輪により検証した日本で一番古い事件です。

遠山大地変と埋没林

南アルプス横断ルートⅠ

-南アルプスジオライン-

伊那市長谷黒河内の仙流荘から南アルプス北部の北澤峠まで、夏の時期を中心に南アルプス林道バスが走っています。出発地の仙流荘は標高860m、終点の北沢峠は標高2032mなので、標高差は1170mほどです。バスは三峰川の支流黒川に沿って走り、戸台大橋からは戸台川沿いにつけられた南アルプス林道(専用林道)をゆっくり走ります。南アルプス地域では、地層が南北方向に分布しているので、東西方向に横断するこの林道バスでは、さまざまな地質を観察することができます。
 バスは戸台構造線、仏像構造線を通過していきます。短距離で3つの地質帯を行き来できる日本でも特殊な場所です。 南アルプス林道バス時刻表・運賃

図:ジオラインガイドマップ

南アルプス林道を走る林道バス 後ろは甲斐(東)駒ケ岳

南アルプス横断ルートⅠ 南アルプス林道を走る林道バス

南アルプス横断ルートⅡ

-鳥倉林道~塩見岳-

大鹿村の鳥倉林道は、村の中心部から夕立神展望台を通って標高1770mの鳥倉登山口まで通じています。夏には登山バスが運行されています。一般車はイヌワシ保護のため、林道終点の約3km手前の駐車場で通行止めになります。鳥倉登山口からは三伏峠を通って塩見岳まで登山道があります。
 このルートでは付加体のすべての種類の岩石を見ることができます。

図:鳥倉林道~塩見岳ガイドマップ

南アルプス横断ルートⅡ

秋葉街道と法華道

-人々が往き来した古道-

中央構造線の谷は、縄文時代より交通路として利用されてきました。断層部分は地質がもろく、侵食で削られてまっすぐな谷となっていて、人々の往来がしやすいためです。
 秋葉街道は長野県諏訪地方から静岡県相良地方まで中央構造線に沿って延びる道です。
 法華道は、秋葉街道が通る伊那市長谷大明神から分かれて、入笠山を通って富士見町まで延びる道です。

中央構造線の谷(写真提供:中川和之 日本ジオパーク委員会委員)

遠山大地変と埋没林

入笠山

-人々が往き来した古道-

南アルプスの北端に位置する入笠山(1,955m)の山頂は、360度の大パノラマ。足元には緑色岩、眼下には日本を横断する糸魚川-静岡構造線、八ヶ岳からの韮崎岩砕流の痕跡などが観察できます。入笠山山麓にある入笠湿原(1,730m)は、春から秋にかけて百数十種類の山野草が咲き誇り、日本スズランの群生が見事。大阿原湿原(1,810m)はチャートの巨岩が転がり、この湿原を源流とするテイ沢は、コケと清流が美しい散策路になっています。

入笠湿原

入笠山
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